我が国に皆年金制度が確立して半世紀。当初は情報技術(IT)がなく年金記録は紙媒体で発足した。10年前「基礎年金番号制度」が導入されたとき過去の記録の一部に不明朗・不完全な点が発見された。
この不完全な記録が制度不信の一つの原因となり年金制度全体に対する国民の信頼が著しく低下し政権交代にまで発展した。当時、学者やマスメディアの一部にこの機をとらえて、年金制度の不信・不安を煽る傾向があった。6千7百万人の加入、年金受給者4千万人、54兆円を超える給付費が毎年高齢者などに遅延なく支払われている。現在、高齢者の3分の2は年金収入だけで生活している。日本社会に定着し地域経済にも大きく貢献している年金制度を崩壊させてはならない。
このような社会の動きのなか、年金綜合研究所は今日の年金不信・不安の根源を払拭し信頼できる年金制度確立のため、企業年金を含め適正なリスク管理に基づいた運用の在り方、年金数理に基づく健全な年金財政の在り方など、あらゆる角度から公的年金・企業年金を研究し政策提言を行うため、平成24年10月1日に設立された。この設立趣旨に賛同できる法学・経済・社会保障・雇用・運用・年金数理など幅広く研究したい方は是非参加願いたい。
現在超長寿社会における高齢期の生活を支えるための「公的年金」と「私的年金」の連携、年金制度と医療保障制度や介護保障制度との関係、また働き方改革や多様な雇用形態に対応する年金制度のあり方等検討すべき課題が山積している。
このような状況の中、当研究所は研究者だけでなく国民の皆様にも信頼される組織を目指し、評議員の方々の協力を得て役職員一同全力で取り組んで参ります。是非皆様のご理解・ご支援をお願いします。